PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)とは?PMOの役割、業務を解説

プロジェクトベースの業務が増えてきた昨今、プロジェクトマネージャ(Project Manager、PM)という言葉を耳にする機会は多いだろう。しかし、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)については、聞いたことがない、あるいは聞いたことはあっても意味をきちんと理解できていないという人が多いのではないだろうか。

本記事では、そんな方々に向け、プロジェクトマネジメントオフィス(以降、PMOと呼ぶ)の役割と業務、資格、PMとPMOとの違いについて10分程度で理解いただけるようわかりやすく説明する。PMOを設置すべきか迷っている企業のマネジメント、もっとプロジェクトに専念できたらと思っているPMの皆さんの参考になればと思う。

PMOとは? PMOの役割は?

「プロジェクトマネジメント」のために活動する事務局的な存在

PMOとは、「プロジェクトマネジメントオフィス(Project Management Office)」の略称で、「プロジェクトマネジメント」のために活動する事務局的な組織、チームを指す。

PMとPMOの違いは何か?

一緒に語られることの多い両者だが、プロジェクトマネージャ(略してPMと呼ぶ)は、「プロジェクトを指揮する総責任者」を指す。プロジェクトは、何らかのビジネス課題の達成を目的として組織される期限付きの業務のことで、特定の部門、部署内のプロジェクトもあれば、社内の組織を横断するもの、社外も含むプロジェクトもある。

一方、PMOは前述した通り、プロジェクトマネジメントのために活動する事務局的な組織なので、基本的にはPMを側面支援する役割を担う。

PMについては、以下の記事も合わせてお読みいただきたい。

PMO設置の必要性

大規模プロジェクト、複数プロジェクトの管理効率化に威力を発揮

小規模のプロジェクト単体であれば、PMひとりで全体の管理が可能かもしれない。ゆえに、PMOの設置が絶対に必要、とは言えない。

しかしながら、社内外や部署を跨ぐ大規模プロジェクトや、多数のプロジェクトが同時進行するようになってくると、個々のプロジェクトマネジャーが対応しきれないような細かい管理業務、どのプロジェクトにも共通する業務は、PMOが事務局として巻き取って対応した方がずっと効率的だ。

さらに、第三者的立場でPMOが入ることで、チェック機能も働く。PMO設置により、PMはプロジェクトに専念することができ、企業としての業務の効率化、クオリティチェックも図ることができるのだ。

PMOの業務内容とは?

PMOが行う業務は企業によって千差万別

PMOが対応する業務は、その企業で行っているプロジェクトの性質や所属企業の組織体制などにより異なるが、ここでは主な業務をリストアップしてみた。

プロジェクトの現場視点での業務

  • プロジェクトマネジメント計画書の審査・チェック
  • プロジェクト進捗状況のマネジメント、ステークホルダーへの報告業務
  • プロジェクト予算、リソースの調達および管理
  • 外部からの人材登用、契約等業務
  • プロジェクトメンバーに関する管理業務(勤怠管理、経費管理、人事評価など)
  • プロジェクト事務業務(契約書、リーガル・コンプライアンスチェックの窓口など)
  • データ管理、分析業務
  • プロジェクトの定量効果測定
  • 問題発生時の対応、支援、報告

プロジェクトの経営視点での業務

  • プロジェクト間で共通する業務の標準化
  • プロジェクトの進捗確認・フォロー方法の最適化
  • プロジェクトマネージャ、メンバー向けの研修や支援等による育成

列記はしたが、ここにあるすべての業務をPMOで行う必要はない。第一とすべきは自社ニーズだ。教科書通りに行って無駄な業務を増やす必要はないし、基本的には自社に合わせて必要な機能を選んで装備すれば良い。

大規模プロジェクトで工数が多い場合、多数のプロジェクトを極力効率化したい場合などは業務範囲も自ずと広くなるだろうし、逆にプロジェクトの全体管理とその報告業務のみに絞ることも可能だ。

PMOを設置するメリット

PMOのメリットは「PMのポテンシャルの最大化」「第三者機関としてのチェック機能」「業務効率化」

PMOの機能は企業によって千差万別であり、一概には言えないが、とくに大規模プロジェクトを複数抱えるような企業においてPMOの有効性は高い。ここではメリットを3点挙げてみよう。

1. PMがプロジェクト遂行に注力できること

PMが対応しなければならない業務は広範にわたるため、細かい業務をPMOがカバーすることでPMは案件マネジメントに注力できる。PMOの最大のメリットと言える。

2. 第三者機関としてのチェック機能が働く

プロジェクトの遂行責任はPMが負うが、PMのレベルもピンキリだ。とくに重要なプロジェクトにおいては、その初期段階で、 PMOが入り、PMが作成したスケジュールが現実的か、必要なリソース、関係者が含まれているかといったチェックをPMと一緒に行うことでその後のトラブルや遅延を防ぐことも可能となる。さらに進捗管理、マネジメントへのレポーティングに客観性を持たせることもできるだろう。

他にも、各プロジェクト成果の定量測定、評価、PM・メンバー間のトラブル対処なども、その第三者的立場ゆえに適切に行うことが可能だ。

3. 全体の業務効率化と業務レベルの向上が可能

複数プロジェクトが同時に走る場合、プロジェクト間で共通する管理業務を一元化することにより、効率化を図ることができる。PM任せの場合、PMによって業務レベルに差が生じることもあるが、PMOが介在することによって一定水準の業務クオリティの確保も可能となるだろう。

PMOの課題、デメリットについては、別記事で解説したい。興味がある方はそちらもご覧いただければと思う。

PMOに求められるスキル、資格

基本的に資格は不要、しかしプロジェクトマネジメントに関する知識は必須

基本的に、PMOは資格が不要な業務。とはいえ、プロジェクトを側面支援する役割を担うだけに、プロジェクトマネジメントに関する知識は必須だ。キャリアとしては、プロジェクト経験を豊富に積んだPMがPMOのトップを務めることが多い。メンバーであれば、PMOが担う業務についての知識と経験があれば十分対応が可能だ。

PMOに関する知識を体系的に学べる資格

プロジェクトマネジメントに特化した知識を体系的に勉強したい、知識・技術をアピールしたいという人には学習・取得をお勧めしたい。ここでは関連資格を2つ紹介する。

「PMOスペシャリスト」認定資格

日本PMO協会が認定するPMOに特化した資格。現場業務に必要な基本知識を持っていることの証明となる。

資格取得には、PMO協会が提供する映像型eラーニングで学習した上でオンライン試験を受験する必要がある。また、基礎概念や知識を習得していないと理解できない内容が含まれるため、プロジェクトマネジメントに関する資格保有が受験の条件となる。

PMO協会では、自身が実施する「プロジェクトマネジメント・アソシエイト™認定資格」の事前取得を推奨している。現在、以下の2段階のランクアップ制度があり、ランクに応じて証明出来る知識・技術レベルが異なる。

  • PMOスペシャリスト(★)⇒ PMOの基礎知識を証明する資格
  • PMOスペシャリスト(★★)⇒ PMOの知識と技術を証明する資格(PMOマネジャーレベル)

※今後、PMOスペシャリスト(★★★) ⇒ PMOの知識・技術・経験を証明する資格も導入予定

PMP資格(PMI日本支部)https://www.pmi-japan.org/pmp_license/  

プロジェクトマネジメントの国際資格「PMP」(Project Management Professional)

アメリカに本部を持つ世界最大のプロジェクトマネジメント団体PMPの認定する国際資格。PMO特化ではないが、プロジェクトマネジメント全般に必要な知識と手法を持っていることが証明出来る。

日本語での受験が可能で、プロジェクトマネジメントに関する知識・手法をまとめたPMBOKガイド に基づいて実施される。試験内容には、最新知識・手法が反映されるため、随時更新される他、資格保有者となった後もCCR(Continuing Certification Requirements Program)と呼ばれる継続教育プログラムに参加し、3年毎に更新手続きが必要となる点に留意されたい。

PMP資格(PMI日本支部)https://www.pmi-japan.org/pmp_license/ 

PMOはプロジェクトを成功させる万能薬ではない

さまざまなブログ記事を読むと、「PMOは絶対に設置すべき」「PMOを設置するとプロジェクトの成功率が上がる」といったものを見かける。しかし、PMOは決して“万能薬”ではない。

責任を持ってプロジェクトを遂行する優秀なPMがいて、そのPMが存分に力を発揮できるようなPMOを設置できるか否かで、プロジェクトの成功率は決まるものだ。ぜひ、読者諸氏の会社でもPMOを上手に活用して、プロジェクトの成功につなげていただきたい。

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Experience Creativeについて

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「“CMO&PMO”マーケティングソリューション」について

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マーケティング領域において、PMOとして、上流から下流まで一気通貫して体制構築するソリューションです。人材をアサインするだけでなく、目的/現状課題などを加味し、体制の構築から実働に至るまでの最適化される組織体制を提供いたします。

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Ryoji Takada

Ryoji Takada

座右の銘は質実剛健。PDCAをやり遂げプロジェクト収益化まで愚直にやるのは得意分野。あだ名は夜桜で、昔は格闘技のプロであった時の名残。バイクとファッションと格闘技が好き。

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